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用地交渉記録の開示を求める意見書

  • nara-justice
  • 2018年7月30日
  • 読了時間: 7分

平成30年7月30日 奈良市情報公開審査会長殿 (審査請求人) 奈良市青山八丁目277 厚井 弘志 ㊞ 平成30年7月6日11日付け、奈市新第12号行政文書部分開示決定通知書による部分開示決定処分に係る審査請求について、奈良市情報公開条例(平成19年奈良市条例第45号)第24条の規定に基づき、以下の通り意見を述べ資料の提出をいたします。 意 見 書 本件請求者は元大阪府職員であり、関西国際空港建設等の大規模事業に係る土地造成、環境影響評価、漁業補償等に関わってきたものである。 国あるいは地方公共団体が、公共用地の取得を行うに際しては、通例当該分野の専門家が「公共用地の取得に伴う損失補償基準」等に基づき地権者との交渉を行っている。 国あるいは地方公共団体においてその長が直接地権者との用地買収交渉に関わることがないのは、当該交渉に政治的配慮がなされることにより適正な価格での用地買収が損なわれるからであって、行政での常識となっている。 しかるに本件においては、市長仲川元庸が自ら地権者と価格交渉を行ったと議会答弁で明らかにしており、本件用地買収に際し違法行為を行ったことを自ら認めている。 結果として、評価額の3倍以上、不要な土地の追加購入、産業廃棄物処理に公費負担という違法行為を成している。 一市民として看過しがたいことであり、ここに至った理由を明らかにしたいと言うことが本請求の趣旨である。 1.標記弁明書4.弁明の理由(奈良市情報公開条例第7条第2号について)イの上段(2ページ6行目から9行目)に、その他の財産状況(買収した事業用地以外で地権者が保有する土地)とあるが、「その他の財産状況」のみをマスキングすればよいのであり、全部不開示とするのは不当である。 2.同イの中段(2ページ10行目から14行目)に、「地権者の生の言葉として含まれる」ことを不開示の理由としているが、本件土地購入に際し何故評価額の3倍以上の価格で購入したか、本来5ヘクタール購入すべき(実際必要な土地面積は2.5ヘクタールで十分であるが)ところ、地権者保有土地のほとんど全ての11ヘクタールもの土地を購入したか、さらに当該地に埋まっていた何故産業廃棄物処理費を奈良市が負担するに至ったかを奈良市民として知る必要があるからである。 こうした違法と考えられる土地購入を地権者が奈良市に対し強く求めたのか、あるいは奈良市長仲川元庸が持ち掛けたのか、この点に関し違法性が感じられるから情報開示を求めているのである。 地権者の発言として、公序良俗、第3者に対する名誉棄損、地権者の思想・信条に係る部分についてマスキングをすればよいのであって他は全て開示するのが当然である。 3.同イ下段(2ページ15行目から21行目)に、「個人の思想信条・・・個人の人格と密接に関わる・・・プライバシーその他個人の尊厳及び基本的人権に関わる情報が含まれている」ことを不開示の理由としているが、2.でも述べたように当該部分のみをマスキングすれば足りるものであり、全部不開示は不当である。 4.同ウ(2ページ22行目から29行目)に、「売買契約の結果として合意に達した事項」と「その前提となる交渉の内容及びそこに含まれる情報は別個のもの」であることを理由に不開示としているが、そもそも当該売買契約に違法性があると思料されることから開示を求めているのであり、それを隠蔽することは不当である。 「その前提となる交渉の内容」の中に、地権者の違法な要求、奈良市の違法な譲歩があったか無かったを示せと請求しているのである。 5.弁明の理由の(2)奈良市情報公開条例第7条第6号のアについて 弁明の理由の(2)ア(2ページ下9行目から下5行目)に当該条例第7条第6号のアないしオに掲げる事項は限定列挙ではなく例示列挙であると述べている。しかしながら、「行政機関の保有する情報の公開に関する法律」の逐条解説にある通り、例示列挙といえども、本例示で示された典型例の範囲のものであること、長の裁量権の逸脱は許されないこと、将来の恐れに関しても確率的恐れではなく具体的に示す必要があるとなっている。 従って本件不開示の理由(奈市新第12号)に「将来の同種の事務事業における公平性の確保や円滑な事務事業の執行に支障を及ぼす」なる抽象的根拠によっては不開示とする理由にならない。 6.同イ(2ページ下4行目から3ページ13行目)に関し、実施機関たる奈良市は公共用地取得に関する基本的認識を誤っている。 国土交通省の用地取得ハンドブック(以下ハンドブックと記す)にあるように、公共用用地の取得に際しては地権者の理解を得ることに努力することは当然であるとしても、交渉により購入価格の増額が行われものではなく、交渉が不調に終わった場合は土地収用法に基づく強制取得の手続きが予定されているのである。 特に本件の場合、当該土地でなければ新斎苑の建設が不可能というわけではなく、他の適地が多くあること、他の適地探しに労力を費やした形跡がなく、当初より当該地の購入に強くこだわっていることから、過剰に当該土地所有者におもねている可能性があるのであり、この事実につき明らかにして欲しいから開示を求めているのである。 用地買収に係る交渉過程を不開示とし、隠蔽することは違法である。 7.同ウ(3ページ14行目から3ページ24行目)に関し、「市に対し真情を吐露し、いわば腹を割って話し合う」と記しているが、上記ハンドブックに従えば、特別地権者の真情を斟酌する必要はないにも関わらず、この文面を見ても奈良市が地権者に過剰におもねていることが窺える。 この「真情」が、追加土地の購入希望、あるいは産業廃棄物処理の奈良市負担の要請であればまさに違法であり、奈良市がこれを隠蔽するのであれば共同不法行為となる。 違法性がないのであれば、堂々と情報開示に応ずるべきである。 8.同エ(3ページ25行目から3ページ28行目)に関し、将来考えられる支障について配慮すべきとの主張は、限定的に解すべきであって、将来確率的に発生する支障を考慮すべきではなく、情報開示により発生する支障はあくまで実質的なものでなければならないとするのが、通説であり国の指針でもある。 奈良市の認識は基本的に誤っている。 9.弁明の理由の(3)公益上の理由による裁量的開示(3ページ下11行目から4ページ4行目)について 奈良市長仲川元庸が無価値の土地に対し、高額の金員(市民の税金)を支払い、その根拠(公金を無駄に使った理由)は何かと問い、その根拠に関して情報開示を求めているのであるから、審査請求者の請求が公益目的であるのは論をまたない。 審査請求者が本件に係る訴訟の原告であろうがなかろうが本件請求とは全く関係ない。 奈良市は議論のすり替えを行っている。 結語 奈良市が新斎苑の建設に際し、評価額の3倍以上、地権者保有のほとんど全て、本来地権者が負担すべき産業廃棄物処理費を市が負担する、と言った内容で土地を購入したことは極めて不自然であり一市民として全く納得のいかないものであるから、請求人は素朴にその理由を教えろと言っているのである。 請求人は法律には不案内であるが、本件土地購入は単に税金の無駄遣いだけではなく、市民に対する背任行為であると考えている。 また、本件情報不開示は情報隠蔽であり、これ自体犯罪性を感じている。 民主主義国家においては、合意形成、意志決定過程が合理的、合法的なものであることが基本であり、またそれの透明性が確保されていなければならない。 行政情報公開制度はこのために設けられた制度である。 奈良市情報公開条例の条例第1条において、「この条例は、地方自治の本旨にのっとり、市民の知る権利を尊重し、行政文書の開示を請求する権利を明らかにするとともに、情報公開の総合的な推進に関し必要な事項を定めることにより、市の保有する情報の一層の公開を図り、もって市の諸活動を市民に説明する責務を全うし、市政に対する市民の信頼を確保し、公正で開かれた市政を推進することを目的とする。」と定められている。 奈良市情報公開審査会委員各位におかれては、この趣旨を踏まえ、情報隠蔽に加担したとのそしりを受けることの無きよう、奈良市に対して積極的に情報開示すべく求めるようお願いする。 以上。 提出資料 国土交通省「用地交渉ハンドブック(抜粋)」

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