奈良地方裁判所の和解案及び奈良市議会の和解議決に対する原告団の見解案
- nara-justice
- 2023年6月7日
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更新日:6月27日
和解案について
1.奈良地裁の責任
第二段階の民事訴訟は第一段階の判決(本件の場合最高裁決定、大阪高等裁判所判決)に従うのが学説の主流であり、総務省の見解でもある。
常識的に考えて司法の判断には一貫性が求められる。最高裁の決定と異なる判断が下級審で示されることなどあってはならない。
和解案に示されている後発的便益(斎苑使用料)は高裁判決でも斟酌されており、かつ適法に事業を行っていても生じた利益である。
和解案に示されている、事業が早期に完成をみたことの便益(合併特例債の発行期限に間に合ったこと)については、地権者樋口らが不動産鑑定評価額では土地を売却せぬことが解った時点で土地収用手続きに入っておれば、十分間に合ったわけで、地裁の見解は奈良市の言い分を無批判に丸呑みしたものである。
さらに和解案では、高裁判決で違法な不当利得と判示された、樋口らの1憶6772万余円での土地を売却行為が、合理的な経済活動の範囲内と述べているのは、全く理解に苦しむところである。
大阪高裁で特に悪質として共同不法行為者に認定された地権者の売買行為を合理的経済活動と評価するのは、高裁の判断と矛盾する。
今回の奈良地裁和解案作成に携わった裁判官は、高裁判決はもとより、裁判資料を十分読み込んでいたとは考え難く、かなり早い時期から和解に持ち込むことを考えていたのではないか。
どのような和解案であれ、議会が可決すれば、裁判所の責任は回避できる。
裁判所は無責任であり、和解案を可決した議会は軽率としか言いようがない。
2.和解金額
樋口氏らが奈良市より受領した1憶6772万円余は一体どこに消えたのか。上記金額の入金及び出金記録の追跡は裁判所の職権でできる。
また、公益法人への寄付5千万円とは一体どのような性質のものか。
樋口らの財産調査が十分行われたのか、大きな疑問が残る。
3.本件和解の影響
確定判決がありながら、支払い能力がない、支払うのが嫌だとゴネれば
確定判決の効力の有無を争点として強引に和解に持ち込むことが可能となり、確定判決を得る意味が無くなる。
住民訴訟制度の意義が失われるだけでなく、公共用地の取得に際し、違法かつ異常な高値で売買されても、最終的に和解で済まされてしまう。
4.議会の責任
和解の勧試は単なる提案であり、これを司法判断と誤解したのであれば、議員の行動規範に瑕疵がある。
最低限の債権回収のための措置であるとすれば被告双方の入出金追跡調査等の財産調査を十分行わなかった点、樋口氏らに関してはすでに仮差し押さえをしていることから、3,000万円以上の回収は可能である点、公益法人への寄付なるものの調査を行わなかった点、それらに関する情報なしに議決を行ったことに付き、瑕疵がある。
以上のことから、議決の無効、および、債権放棄した約8千万円の損害賠償を求め、奈良市長仲川元庸及び代表監査人東口喜代一を相手方とし、奈良市に対し、監査請求を行い、棄却されれば訴訟を提起するものである。
なお、6月4日(日)午後2時~4時、弁護士会館3階大会議室において今回の和解についての抗議集会を行いますので、報道各社におかれては、取材方よろしくお願いいたします。
本件訴訟が勝てるか、と言う質問に対し、
大阪高等裁判所の判決は、奈良市長仲川元庸のみならず、地権者樋口らに共同不法行為を認めた(全国初の)画期的なものであった。
大阪高等裁判所にしてみれば、このような判決の重要性(及び事件の悪質性)を奈良地裁が理解せず、反故にしてしまったことについて良い印象は持たぬと思う。
奈良地裁の見解は少数意見に拠っているとも解され、控訴審、あるいは上告審では多数意見に従った判決が期待できる。
一方、司法(裁判所)においても、身内をかばうこともあり得るので、地裁の見解が通ってしまうことも考えられ得る。
我々は訴訟と、地方自治法改正の運動を同時に進めることを考えており、
仮に敗訴しても、住民の直接請求権についての問題提起を広く行ってつもりである。


>和解案に示されている、事業が早期に完成をみたことの便益(合併特例債の発行期限に間に合ったこと)については、地権者樋口らが不動産鑑定評価額では土地を売却せぬことが解った時点で土地収用手続きに入っておれば、十分間に合ったわけで、地裁の見解は奈良市の言い分を無批判に丸呑みしたものである。
こう主張する根拠はお持ちですか?
「不動産鑑定評価額では土地を売却せぬことが解った時点で土地収用手続きに入っておれば」
こういうのは、県による横暴とそしられる可能性もあるでしょ?
で、土地収用手続きをすれば必ず手に入るのであれば、なんで現在の市長よりずっと前に、こんなに長く新しく建てることができなかったのか、説明できませんね。立替問題は昭和の時代から言われていたことですよね。